岐阜地方裁判所 昭和25年(行)7号 判決
原告 揖斐川電気工業株式会社
被告 岐阜県地方労働委員会
補助参加人 土屋和義
一、主 文
申立人土屋和義(本件補助参加人)相手方揖斐川電気工業株式会社(本件原告)間の不当労働行為救済申立事件について被告委員会が昭和二十五年六月十五日交付した命令を取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
二、事 実
原告訴訟代理人は「申立人土屋和義(本件補助参加人)相手方原告会社間の不当労働行為救済申立事件につき被告委員会が昭和二十五年六月十五日交付した命令を取消す。救済申立人の申立を却下する。訴訟費用は被告の負担とする」との裁判を求めた。その請求の原因として次のように述べた。
第一 被告委員会は昭和二十五年六月十五日原告会社に対し申立人土屋和義相手方原告会社間の不当労働行為救済申立事件(岐労二五不第一号事件)につき「使用者が土屋和義に対し昭和二十四年十二月二十三日為したる懲戒解雇処分は労働組合法第七条に該当すると考える他なく、同法第二十七条第二項により使用者は直ちに申立人土屋和義に対する昭和二十四年十二月二十三日付懲戒解雇の処分を取り消すことを命ずるものである。しかしこれはなんら申立人土屋和義がその他の懲戒処分にあたいしないことを意味するものではない」との主文を有する命令書を交付した。
第二 しかるに右命令はその裁定に至る手続において違法に充ちている。
一、原告会社は昭和二十五年二月十日付で、被告委員会から本件についての「不当労働行為調査開始通知書」を受取つたが、それには「事件の概要」として、「会社は十二月二十三日土屋和義に対し従業員就業規則第七章に牴触する行為があつたという理由で解雇を申渡したが、本人は十二月十六日新役員に当選決定しており、又前記解雇理由も薄弱である。本行為は明かに不当労働行為であり、十二月二十八日労働組合名で以て救済申立がしてあつたが、資格審査のため問題が長期化すると称して、個人として改めて二月九日不当労働行為救済を申立てたものである」と記されている。しかしこれは中央労働委員会規則(以下規則という)に違反している。規則第三十七条第一項によれば、「調査を開始するときは委員会は遅滞なくその旨を申立人に通知し、申立理由を疎明するための証拠の提出を求めるとともに、申立書の写を使用者に送付し、それに対する答弁書及びその理由を疏明するための証拠の提出を求めなければならない」とあり事件の概要などという委員会の判断、しかも既に会社が不当労働行為をしていると予断しているとしか思えないような判断を被申立人に通知すべきではない。
二、調査開始の通知には、申立書の写を被申立人に送付せねばならぬが、原告会社は被告委員会からそれを受取つていない。不当労働行為救済申立書には、被申立人が知つておらねばならぬ重要な点が二つある。(一)不当労働行為を構成する事実の網羅的且つ簡潔な説明、(二)請求する救済の内容、即ちこれである(規則第三十二条第二項)疑うらくは、救済申立人は規則第三十二条所定の手続を践んだ申立書を提出していないのではなかろうかということである。というのは、本件命令のどこを探しても救済申立人たる補助参加人がいかなる「請求する救済の内容」を申立てているかを見出すことができないからである。なるほど本件命令第二の「申立人の主張の要旨」には、「労働組合法第二十七条の救済を求めるというのである」と要約されているが右第二十七条第二項には「労働委員会は、…………申立人の請求にかかる救済の全部又は一部を認容し、又は申立を棄却する命令を発しなければならない。」と定められており、「申立人の請求にかかる救済」を前提とするものであるから、申立人の請求なきところ、そこに第二十七条の救済はないわけであり、単に第二十七条の救済を求めるということは、ナンセンスの極であり、救済内容を具体的に明示しない申立を審査したとすれば、請求を受けない事件を審判したものといわねばならぬが、本件命令は正にその違法を敢てしているものの如くである。
三、不当労働行為救済申立事件の審査とは、「調査及び審問のすべての手続をいう。」(規則第三十三条第二項)のであるが、労働委員会が法第七条に違反した旨の申立を受けたときは、「遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立が理由があるかどうかについて審問を行わねばななない」(法第二十七条第一項)ものであるから、調査手続は審問手続に入るべきか否かを決する前階手続であり、既に審問手続に移ればその必要を見なくなるものである。しかるに被告委員会は本件の審査に当つて、既に審問手続に移つてから、なお調査手続を重ねていることは、第三回審問調書の末尾に、「堀越………の六名を職権により明日喚問し、非公開の調査をいたします」と記載されていることによつて明かである。かような調査は二回行われており、それは調査調書として記録されているが、その調書によれば、昭和二十五年四月二十一日に第一回審査、同年五月三十日に第二回審査があつたと記録されている。ところで調査でもなく審問でもない審査というものは、不当労働行為救済申立事件の具体的手続には存在しないのである。
四、被告委員会は本件審査手続において、証人は調査手続においてのみ喚問している。調査手続でも必要と認めれば証人の出頭を求めることはできるが(規則第三十七条第二項)、しかしそれは事件を審問手続に移すべきか否かを決するための必要に限られるのであつて、救済命令の基礎事実を証明するための証人尋問は、審問手続においてでなければならぬ。規則もまた、証人に関する定めは、審問の手続と摘記されている第四十条中に収められているのである(同条第五項乃至第八項)。法第二十七条第一項は、証人のあり方について、「審問の手続においては、当該使用者及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対訊問をする充分な機会が与えられなければならぬ。」と宣示している。しかるに被告委員会は、本件に関しただの一人も審問手続において証人を喚問せずしかも証言と銘打つて本件命令の不当労働行為を構成する事実を証明しているのである。これをもし手続の違法、それが本件命令の効力を左右する違法であるといわないで、他にどんな違法がありうるであろうか。
五、被告委員会は「審問を終結するに先立つて、申立人及び使用者に最後の陳述をし、且つ必要な証拠を提出し得るに充分な機会を与えなければならない」(規則第四十条第九項)という手続を経ないで本件命令を決定していることは、これまた見逃しえない違法処置である。
六、本件命令書は、第一「申立人の経歴」にはじまり、第十「法律上の根拠及び結論」をもつて結んでいるのであるが、「主文」と見るべき部分は、第十の「結論」であろうが、「使用者は直ちに申立人土屋和義に対する昭和二十四年十二月二十三日付懲戒解雇の処分を取消すことを命ずるものである。しかしこれはなんら申立人土屋和義がその他の懲戒処分にあたいしないことを意味するものではない。」というのでは、規則第四十三条第二項が命令書はかくあらねばならぬとして、「請求にかかる救済の全部若しくは一部を容認する旨及びその履行方法の具体的内容」を記載せよと命じていることに背いている。「請求にかかる救済の内容」の何であるかを示さないでいては、その全部又は一部の容認ということも示すわけには行かず、それを本件命令のように「懲戒解雇を取消せ」と救済内容を確定しても、それが請求にかかる救済の容認であるのかどうかが不明であり、案外請求外の救済内容であるかもわからない。命令書としては、また救済命令の具体的履行方法を明記すべきことが要請されているのに、本件命令には全然それが欠けており、しかも「しかし………意味するものではない。」などいうわけのわからぬ附記によつて主文そのものを違法のものとしている。
第三 本件命令はその内容において違法である。
一、原告会社の従業員である補助参加人は係長待遇技師補として月額として金一万三千六百五十円の給与を受け原告会社の高給社員であり乍ら昭和二十四年八月二十二日取締役大垣工場長塚越覚一郎、製造課長桑原敏郎から技術の統計整備現場指導のために「終戦後におけるカーバイト硅素鉄電気銑鉄の操業率表」の作成を申渡され、執務の位置も課長の傍にありながら、同月二十八日迄作業に着手せず、桑原課長が課員七百余名をもち多忙でありながら毎日仕事をするようにと注意したにも拘らず、更に仕事をなさず、なお同課長が同年八月二十六日メモで仕事に着手するようにと注意したのに対し「電気操業率表作成の件、回答、操業記録不明確ですから基礎資料となりません。具体的に御教示御教授ありたいと思います、土屋、製造課長殿」と書面で回答し、その翌日同課長が現在ある資料で充分目的を達し得るから速かに仕事に着手するように促した結果ようやく翌々二十九日から仕事に着手し、同年九月二十迄に完成して提出した。
更に補助参加人は同年九月二十日桑原課長から「硅素鉄、銑鉄の操業率表」作成を指示されたにも拘らず同年十二月二十三日懲戒解雇処分の日まで全然着手した形跡がなく、桑原課長がその間再三注意をするも更に顧みず「あんな課長の下で働かない。そんな仕事はしない。」と放言していた。
他面補助参加人は原告会社の労務者配給物資配給委員であつたが同年十月二十五日開催の第四回配給委員会において、その先回の委員会において補助参加人が従業員の労働の軽重に応じ加配米を配給することを主張し次回までに具体案を作成することを提案し全会一致で決定しておきながら、他の委員がすべて具体案を提示したにも拘らず提案者である同人だけがこれを準備せず、自分が選出されておる肥料部だけが優先的に基準量を先取りその余りを他に適当に分配すると主張して委員会を混乱に陥れ、同年同月二十八日開催の第五回配給委員会席上においては到底実行不能で、他の委員が承認のできない案を持ち出して反対論議し肥料部だけ単独行動をとると捨言辞を残して中途退席し、同年十一月十日午前中本社の労務課に押しかけ、課長佐竹伸一不在のためその場に居合せた山本労務係長に対し、補助参加人「加配米は取つたかどうした」、山本係長「今引取りつつある」、補助参加人「配給は配給委員会通り行うか」、山本係長「委員会の決定に基き各工場へ配付する」、補助参加人「それならおれは反対である早速監督署へ報告する」、山本係長「監督署へ云うのも結構だが配給委員全部の配給方法に基いて配給するのだから、そんなことは無駄と思う」、補助参加人「おれはおれの立場でやる」と放言して退場し同日午後三時頃補助参加人は再び本社労務課に現れ右山本労務係長を捉え、補助参加人「課長はおるか」、山本係長「今席に見えない」、補助参加人「課長に云つてくれ。おれは絶対に反対である明日からでも独自の行動をとる」と威嚇的態度に出て、職場においては、その翌日他の者が執務に追われている中を勝手に工員数名を狩り集めて自分の指図によつて配給事務を取らんとし、配給物資の保管担当者である岡本業務課長に配給物資保管の倉庫の鍵の交付を強要し、事務机の貸与方を執拗に要求したが岡本課長は断然これを拒否し、桑原製造課長はその不当を叱責し中止せしめ、同年十一月十二日開催の第七回配給委員会において自己の主張が容れられずと見て配給委員を辞任すると申し出て退席したため配給委員会は混乱して纒らなくなつたので同年十一月十四日労働組合が耐えかねて妥協案を提出した程であつた。同月二十六日開催の第十一回配給委員会席上において「工務部施設課の作業班は何をやつておるか判らん。作業班の仕事は全部工場でやりなおしだ」と故意に何等議案と無関係な放言をして施設課員を憤慨せしめ、施設課長及び同課職場委員長等から抗議が提出され、次の同年十二月五日開催の第十二回配給委員会には施設課から傍聴の申出があり、傍聴者があれば今度は「施設課作業班の仕事は請負であるべきだ、会社がこんな機構を作つているのは外部に対し機構の尨大を誇示するための政策だ」と何等関係のない大言壮語を放つた。
これを要するに補助参加人の行動は職場においては前述の通り仕事に手を付けず上司に対しては反抗的で不熱心不誠意であり、配給委員としては全く破壊的である。
補助参加人の職場における直接監督の地位にある桑原製造課長は補助参加人が命ぜられた仕事をしないため毎日のように注意したが、同人は馬耳東風としてききいれないので之をもてあまし一週間おき位にその旨塚越工場長に報告し同工場長も補助参加人の反省を促したがその効果更になく補助参加人は「仕事が気に入らぬ。賞与が少い」と塚越工場長に談じ込み、原告会社従業員千四百名中最悪の不行跡者であつたので已むなく原告会社は同会社従業員就業規則第三十三条第三号、第五号、第九号、第十四号(第三十三条左ノ一ニ該当スル者ハ懲戒処分ヲ受ケル。三、勤務ニ不熱心又ハ勤務ニ就カナイ者。五、他ノ従業員ニ対シ辞職ヲ強要シ、教唆、煽動ヲ為シ若シクハ暴行脅迫ヲ加へ又ハ他人ノ業務遂行ヲ妨ゲタ者、九、上司ノ指示命令ヲ不当ニ反抗シタ者、十四、其ノ他之ニ類スル不都合ノ行為ノアツタ者)に該当するものとして、補助参加人を懲戒解雇にしたのである。
二、原告会社が補助参加人を懲戒解雇処分にした事由は前述の通りで被告委員会においても同一の主張をして来たのであり、被告委員会は原告会社主張の事実の大略を認定しながら大なる誤謬の原則に立つておるか又は故意に歪曲して結論付けておる。即ち被告委員会は(一)補助参加人が技術者であるけれども約三ヵ年実際の仕事から離れておつて実務に携つておらず、その間労働運動でも時に左に傾き時に右せしと同様事業自体において内容的に大なる変化があつたこと。(二)補助参加人は技術者であつて係長待遇である以上その上役は課長であり課長不在のときは代理者であり、上司が補助参加人のために課長になれるから熱心に仕事をせよと云つたのは人心を把握し部下を統轄する者の激励の辞であること。(二)補助参加人の不真面目に対し最も直接的に被害を蒙つておりこれに対し辛い点数をつけるのは直接監督者である課長であるのは当然である。犯罪でも被害者が最も深く痛感し被害の事実を直接に五官にふれた者程それ程度合が強いと同じであること。(四)原告会社の事業組織を正しく認識していない。即ち本社石井淳人事課長は補助参加人に対し何等監督する地位にないし、その進退に言をはさむべき地位でない。何となれば補助参加人は大垣工場肥料部製造課勤務であつて本社人事課長と身分上の連鎖はないからであるということ。(五)原告会社が業務怠慢就業規則不服従によつて懲戒解雇処分に付した社員は昭和二十二年九月から同二十四年十二月までに約六十名あること。以上の事実並びにこれに基く社会通念を忘却している。
三、被告委員会は証拠に基く採証上の原則を全く無視している。即ち経験則並びに承証責任を無視しているのである。経験則は立証する必要はない。原告が商法上の会社であるとすれば公共の福祉に反しない限り、経済上の利益を目的とするものであつて、慈善事業でないことや学校でないことを立証したり不熱心な破壊的従業員をかかえて事業が成立しないこと、その一人の存在が他に伝播して全般的に能率低下をもたらす危険のあること、事業の健全を期するためには信賞必罰を厳にしなければならないこと、短期間に次ぎ次ぎと同じ職場において消極的積極的にとつた数々の事実が反覆累行されたとき、これを一連の意思に基くと判定すること、これらは何れも経験則であつて立証がなくても当然に経験上推理し得るに拘らずこの経験則を無視しておる。
原告会社は補助参加人の前述の就業規則違反事実は同人の一連の連鎖をもつ破壊的非協力的言動と確信し前記処分をとつた。けだし同人は実力行使を含む社会改革の思想の遵奉者であり、その思想に基因する行動であるからである。
四、本件は不当労働行為救済申立事件であつて、懲戒解雇無効確認請求事件ではない。この明白な一事を忘れて審査に当り、その混線のままに本件命令が出されているのである。不当労働行為の救済命令においてその主文中に「しかしこれはなんら申立人土屋和義がその他の懲戒処分にあたいしないことを意味するものではない」などと、懲戒解雇についての判断を下しているところに、その混迷ぶり、従つてまたその違法性を露呈しているのである。不当労働行為救済命令の取消を求める本件訴訟はどこまでも不当労働行為救済の範囲を出ることはできず、改めて裁判所に懲戒解雇無効確認の訴を提起するならば、裁判所はよくこれを裁くであろうという意味である。従つて、
(一) 労働組合の活溌な活動をしていたとか、役員であり、またはあつたとかいう労働者を解雇してもそれは不当労働行為と推定されるわけではないから、労働者の解雇が労働組合法第七条第一号のような使用者の不当労働行為に該当するかどうかは、これを主張する労働者の側において立証するの他ないのである。その立証方法にはもちろんさまざまありうるであろうが、(1)被解雇労働者が労働組合の正当な行為をしていた事実と、(2)そのことの故に解雇されたのであるという所謂因果関係とを明確にせねばならぬ。この立証によつて使用者の口にする解雇理由がごまかしに過ぎざることを示しうるわけであるから、単に懲戒解雇を就業規則との関係において攻撃するだけでは、不当労働行為救済申立事件としては意味をなさないのである。しかるに本件救済申立人は、自ら労働組合の正当な行為をしたという事実と、そのことの故に解雇になつたのだという因果関係とを明確に主張せず、立証もしていないのである。
(二) 原告会社は補助参加人を勤務に不熱心、他人の業務妨害、上司の命令に反抗、配給委員としての破壊的言動等の行為を就業規則の規定に照らし懲戒解雇したものであり、その立証もしているのであるから、補助参加人において勤務不熱心、業務妨害等の行為が労働組合の正常な行為としてであることを先ず第一に立証せねばならないに拘らず、全然それがなされていない。本件命令書第二「申立人の主張の要旨」の(1)―(5)のいずれを見ても右のような立証はない。してみると労働組合の正当な行為としてなされたという証明をしていない以上、そのことの故に解雇になつたという因果関係の存しえないことはいうまでもない。しかるに被告委員会は補助参加人の主張の(4)(5)はこれを認めず、又は判断しなかつたが(1)(2)(3)はこれを容認しているばかりか、この容認した事実により原告会社の補助参加人に対しなした懲戒解雇を不当労働行為なりと推断するに至つているのである。暴断というの他はない。いまこれを具体的に補助参加人の主張に徴するに(1)は「組合御用化」、「組合弾圧」の挙に出たということが主眼のようであるから、これがかりに原告会社の不当労働行為であるとすれば、組合法第七条第一号に該当するものではなく、その第三号に該当するものであるから、本件救済申立の範囲外でなければならぬ。(2)については補助参加人が組合専従役員を退いて職場に復帰したことが、原告会社の命令によつてである場合ならいざ知らず、労働組合の都合によつて専従役員を解かれて職場に復帰したものである以上、会社がその人事権と経営権とに基いて、適当と思料する仕事に就かせることが、何故に非難されねばならぬのであろうか、「土屋和義が会社に復帰した後における使用者の態度が、………同人をして就業規則に違反させるような行動を誘発させた点のあることを認めなければならない」という本件命令は邪推にみちた判断である。(3)については労働組合法第七条第一号が「労働者が労働組合の正当な行為をしたとの故を以て労働者を解雇し」というていることを見忘れている。「執行委員長に当選する可能性あることを察知して解雇した」という主張は、労働組合の行為をするであろうという未来の事実を解雇の理由とするものであり、法第七条第一号が組合の行為の過去又は現在完了の事実を理由としていることとは異るのである。執行委員長となるならば、組合の行為をすること間違いなしであるが、果して正当な行為をするか否かは未知数である。かような場合になお第七条第一号の適用があるといいえんがためには、その理由が説明されねばならぬ。本件命令にはこの点において理由不備の違法がある。
(三) 本件命令は原告会社が補助参加人を就業規則に照して懲戒解雇したと主張する第一点「勤務に不熱心又は勤務につかない者」第三点「上司の指示、命令に不当に反抗した者」、第四点「その他これに類する不都合の行為のあつた者」についてはこれを容認し、ただその第二点「他人の業務を妨げた者」についてのみ「右に違反するものであると断定するには不充分である」といつているに過ぎない。原告会社が就業規則違反の事実を四つ挙げて、その三つまで被告委員会は認めたのである。懲戒解雇の理由としては、ただその一をもつても足るのであつて、四つ挙げたら四つ認められねばならぬというものではないから、本件救済申立事件は既に被告委員会において就業規則違反の事実は歴然としているという認定を得ておるのである。就業規則違反の事実に基いて原告会社が補助参加人を懲戒解雇したということが決つた以上は、それが不当労働行為としての解雇でなかつたことを当然に物語つているわけであるから、かような事実認定の上に立ちながら本件解雇を不当労働行為と判断して原告会社にその解雇の取消を命じた本件命令は違法であると言わねばならぬ。
五、本件命令には多くの証言を証拠としているが、いずれも証言として通用しないものであることは前述の通りであるから、右証言によつて事実を認定している部分はすべて証拠によらざる判断であつて違法といわねばならぬ。
第四 行政事件訴訟は、判決当時における法規並びに状態を標準として判断さるべきである。
一、行政事件訴訟における争の目的がその性質上過去の行政処分の適法違法の判断にあるときは、行政処分のなされた当時の法規及び事実(状態)を標準として判断する他はない。しかし一般の行政事件訴訟においては、その趣旨とするところは決して係争の行政処分がその処分のなされた当時において違法であるかどうかを確認して行政庁の責任をただすことを目的とするものではなく、現在において何が正しい法であるか言い換えれば現在その処分が理行の法規に照し維持されるべきや否やを判断し宣告することを目的とするものとみるべきである。即ち法律に反対の定めがあるか、又は特に反対の理由のある場合の他は、常に判決当時の法令及び事実を基礎として判決されなければならぬ。従つて補助参加人が現に原告会社の従業員であつたならば受けたであろう諸事情はこれを考慮に入れて裁判せらるべきことはいうまでもない。
二、凡そ企業は公共の福祉、正当なる国家目的に奉仕するために常に健全に且つ一切の破壊的行動に対し充分の防衛態勢の下に運営されなければならないことは多言を俟たないところである。原告会社は資本金一億六千万円、揖斐川水系に自家発電所を有し従業員約千四百名にて、食糧増産に不可欠な化学肥料その他基礎的産業に必要なる化学製品を生産しておるのであるからその運営の可否が公共の福祉に及ぼす影響は極めて大である。
三、それで公然と国際的に略奪勢力の手先となり外国の権力政策、帝国主義的目的及び破壊的宣伝を遂行する役割を引受けこれらの行動に出る者、又はその虞れのある者を企業体から追放すべきことは公共福祉保全の見地からして当然である(昭和二十五年六月六日官報号外連合国最高司令官より吉田内閣総理大臣宛書簡、同月七日、同月二十六日、同年七月十八日同上書簡及び声明参照)
四、よつて右連合国最高司令官書簡並びに声明によつて明かなるように外国の指示に基き破壊的目的を有する同志であり又はこれに同調する者で、(一)組合関係その他の集会において違法なストの実施を強調する者(二)会社の既定の業務運営方針を不必要に批評し又はこれに従わない者、(三)暴力を行使し或は不穩当な言辞を弄する者、(四)平素職場規律を軽んずるような言辞を弄し又はこれに違反する行動のある者、(五)会社の経営に関して真相を歪曲して煽動宣伝した者、(六)職制に対する故意の反対をなし又は作為的中傷誹謗を行つた者、(七)会社との団交、経協その他の会合において発言の不穩当なる者又は態度の著しく破壊的又は暴力的な者、(八)会社の施設破壊、文書隱匿、機密漏洩した者、(九)労働組合の上部機関の指令に反し又は連絡なくストその他争議行為の共同謀議をなした者、(十)政治的スト又は破壊的暴力的行為を企て、共謀し又は宣伝煽動した者、(十一)組合機関の指令に反し或は指令をまたず独自の立場で又は集団をなして反抗的圧迫的行為をなした者、(十二)争議行為において工場の安全保持の施設の正当な維持又は運行を妨げた者、(十三)会社に対して作為的若しくは中傷的な暴露をなし若くは宣伝煽動をなす者、(十四)会社との団交において甚しく常規を逸して長時間交渉続行を強要し又は不法に監禁した者、(十五)反米的言動をなし破壊的過激的思想を表明宣伝する者、(十六)前記各項該当者と共同謀議に集合し協議に参画しておる者の各項に該当する者を企業体から追放しなければならないことは公共の福祉増進、正当なる国家目的達成のための前掲書簡の趣旨、企業の健全、その防衛の見地から当然であり且つ正当なことである。
五、補助参加人は連合国最高司令官の前記書簡声明で明かなる如く外国の指示に基き暴力的又は煽動的に正常なる国家目的に反することを信条とする同志である。そうして言明せることは積極的であつて、原告会社が被告委員会においては勿論、本件訴訟においても強調する処であり、原告会社が当審において立証した事実並びに被告委員会が命令書において認定した事実は何れも前項の追放基準に該当するものである。
六、補助参加人の「請求する救済の具体的内容」の判然とせぬことは既に述べた通りであるが、不当労働行為救済命令が既になされた不当労働行為によつて発生した事態を以前の状態に戻すことを命令する(所謂原状囘復命令)、即ち組合活動を理由に解雇された労働者を復職させ、かつ解雇期間中に労働者が被つた諸種の損害を填補することを命令するのが、一番普通の事例であるという論に従えば、本件命令が「解雇処分を取消せ」ということは、結局は補助参加人を原職に復帰させよという意味に解しうるから、補助参加人を復職せしめえない情勢が現在厳として確立している以上補助参加人の申立を棄却する他ないものといわねばならない。
以上のような次第であるから本件命令は取消されねばならず、従つてまた補助参加人の申立は却下されなくてはならない。
(証拠省略)
被告指定代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求め、答弁として次のように述べた。
一、被告委員会が昭和二十五年六月十五日原告会社に対し、申立人土屋和義相手方原告会社側の不当労働行為救済申立事件につき原告主張のような命令書を交付したことは認める。
二、原告主張の第二の二の、不当労働行為救済申立書の写を被告委員会が被申立人たる原告会社に送付しなかつたとの事実は否認する。右申立書は昭和二十五年二月九日附のもので当日かその直後に審査開始通知書とともに原告会社労務課長佐竹伸一に渡した。
同三の原告の主張につき、労働委員会の審査においては必ずしも調査手続を終つてから審問手続に入らねばならないというのではなく、審問手続をなしつつ調査手続をなしても何ら手続規則に違反するものでない。
同四、五につき被告委員会が必要な証拠を提出し得るに充分な機会を原告会社に与えなかつたという原告主張事実は否認する。被告委員会は最終期日に当事者双方に対し、その他の主張、立証の有無を問い「無い」との答弁を得て終結した。
三、原告主張第三の一の事実中、補助参加人が原告会社の従業員であつて係長待遇技師補として月額金一万三千六百五十円の給与を受けていたこと、昭和二十四年八月二十二日取締役大垣工場長塚越覚市郎、製造課長桑原敏郎から「技術の統計整備現場指導」のために「終戦後におけるカーバイト硅素鉄電気銑鉄の操業率表」の作成を申渡され、執務の位置も課長の傍にあり、同月二十八日迄作業に着手しなかつたこと、同年八月二十六日桑原課長に対し「電気操業率表作成の件、囘答操業記録不明確ですから基礎資料となりません具体的に御教示御教授ありたいと思います。土屋、製造課長殿」という書面を提出したこと同年九月二十日桑原製造課長から「硅素鉄、銑鉄の操業率表」の作成を指示されたこと、第三回配給委員会において補助参加人が従業員の労務の軽重に応じ加配米を配給することを主張し、次回までに具体案を作成することを提案し全会一致で決定し、同年十月二十五日開催の第四回配給委員会において他の委員が具体案を提示したが補助参加人が、これを準備せず自分が選出されておる肥料部だけが優先的に基準量を先取りその余りを他に適当分配すると主張し、同年同月二十八日の第五回配給委員会席上において他の委員に反対論議し肥料部だけ単独行動をとると言つて中途退席したこと、原告会社が補助参加人を懲戒解雇にしたことは認めるが、その他の事実は争う。
同二の原告主張事実中原告会社が被告委員会においても同一の主張をして来たことは認めるが、その他の事実は否認する。被告委員会が証人並びに相手方尋問の機会を与えなかつたことはあるが、それは調査の過程にあつたからであつて被告委員会は当事者に対し最後に主張立証の機会を与えた。
同三の原告主張事実は不知を以て争う。
四、原告主張の第四の二の原告主張事実は認める。
同五の原告主張事実中補助参加人に係る不当労働行為救済申立事件の委員会における審査において、原告が補助参加人が原告主張のような信条を有する同志であるとの主張を強調した事実は否認する。現在補助参加人が原告主張のような追放に値するかどうかは、被告委員会の関知するところではなく、本件においては被告委員会の命令が取消さるべきか否かが争われているのであつて、要するに昭和二十四年十二月二十三日原告会社が補助参加人に対してなした懲戒解雇が所謂不当労働行為であつたかどうかが争点である。従つてその後の諸条件の変化は、原告会社において補助参加人に対し何等かの新たなる意思表示のある場合は格別、行政事件訴訟特例法第十一条の規定は存するも本件において考慮さるべきではない。
(証拠省略)
三、理 由
一、被告委員会が昭和二十五年六月十五日原告会社に対し申立人土屋和義相手方原告会社間の不当労働行為救済申立事件(岐労二五不第一号事件)につき「使用者が土屋和義に対し昭和二十四年十二月二十三日為したる懲戒解雇処分は労働組合法第七条に該当すると考へるの他なく、同法第二十七条第二項により使用者は直ちに申立人土屋和義に対する昭和二十四年十二月二十三日付懲戒解雇の処分を取り消すことを命ずるものである。しかしこれはなんら申立人土屋和義がその他の懲戒処分にあたいしないことを意味するものではない」との主文を有する命令書を交付したことは当事者間に争がない。
二、右命令の裁定手続における違法の有無及び右命令の効力。
(一) 被告委員会が原告会社に対し昭和二十五年二月十日付本件不当労働行為調査開始通知書を送付し、右通知書に「事件の概要」として原告主張の通りの記載のあつたことは被告の明かに争わないところであるが右「事件の概要」なるものは申立人の申立事実を要約したものにすぎずして労働委員会の判断の結果を現わしたものではない。従つて労働委員会が使用者に対し不当労働行為調査開始通知をなすには申立書の写を送付すれば足り、その外通知書に右の如く、申立事実を要約して記載する必要はないが調査の便宜のためかかる要旨を通知書に記載しても中央労働委員会規則(以下規則と略称する)第三十七条第一項に違反するものということはできない。
(二) 原告会社が被告委員会から不当労働行為救済申立書の写を受取つていないとの原告主張事実はこれを認めるに足る証拠はない。次で規則第三十二条第二項によれば、不当労働行為救済申立書には請求する救済の内容を記載しなければならず、成立に争のない甲第一号証(二五岐労委不第一号事件命令書写)の記載によれば申立人たる補助参加人は労働組合法(以下法と略称する)第二十七条の救済を求める旨申立てているだけで救済内容を具体的に明示していないことを認めることができる。しかしながら不当労働行為の救済制度のねらいは、できる限り不当労働行為がなかつたと同じ状態を再現し普通の訴訟では到底できないような具体的事案に則した救済を与えることにあり、それは一応不当労働行為の態容と当事者の申立とを基本として考案されるであろうが、組合活動を理由に解雇された労働者についてはこれを復職させることが一番普通の事例であろう、従つて本件のように解雇を不当として救済の申立をする場合には申立が単に法第二十七条の救済を求めるということであつても、前記甲第一号証中申立人の主張の要旨に照らして考えるときは申立人の意図する所は同人の復職にあつたと解するに難くないから、救済内容が明示されていないとしても、本件命令の効力を左右する程の違法ということはできない。
(三) 規則第三十三条第二項によれば不当労働行為救済申立事件の審査とは調査及び審問のすべての手続をいうのであり、法第二十七条第一項によれば労働委員会が法第七条に違反した旨の申立を受けたときは遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立が理由があるかどうかについて審問を行わねばならないのであるから、一見調査手続は審問手続に入るべきか否かを決する前階手続であり、既に審問手続に移ればその必要を見なくなるもののようであるが、規則第三十七条(調査の手続)第四項によれば当事者は審査が終結するまでは何時でも証拠を提出することができるのであり、右証拠の取調べも調査手続と解するのが相当であるから、調査手続は審問手続に入るべきか否かを決する前階手続に限らず、審問手続を維持すべきか否かの手続ともなり得るものと解せられ、審問手続に移つてから調査手続をなしたからといつて直ちに違法なものであるということはできない。
(四) しかしながら本件においては前記甲第一号証並びに成立に争いのない甲第三十号証、第三十一号証の各記載を綜合すれば、本件審査に当つて既に審問手続に移つてから昭和二十五年四月二十一日に第一回審査同年五月三十日に第二回審査と称して調査が行われ右調査による証人尋問によつて本件命令の不当労働行為を構成する事実を証明していることを認めることができる。しかるに規則第三十七条第一、二項によれば調査手続における証拠の取調べは申立理由又は答弁の理由を疏明するためのものであり、換言すれば事件を審問手続に移すべきか否か、審問手続を維持すべきか否かを決するための必要に限られるものと解するを相当とし不当労働行為を構成する事実を証明するには審問手続における証拠に基かねばならない。しかも規則第四十条第一、二、八項によれば審問は公益委員会議が必要と認めるときは非公開ですることができるが、原則として公開であり、又当事者の立会のもとで行われなければならず、当事者、代理人又は補佐人は会長に告げて証人を尋問し、又は反対尋問することができるのであり、法第二十七条第一項によれば審問の手続においては当該使用者及び申立人に対し証拠を提出し、証人に反対尋問をする充分な機会が与えられなければならないのである。しかるに本件においては甲第三十一号証の記載によれば前記第一回審査は委員長兼松謙太郎、委員林千衛、同伊藤喜一、同水野後八出席のもとに、第二回審査は右四名の他に委員高橋七郎を加えた五名出席のもとに、何れも当事者の立会なくして行われたことを認めることができるのであり、右手続は規則第四十条に所謂審問の手続に相当するものといい難く、規則第三十七条の調査の手続に該当するものといわねばならない。従つて本件命令は審問手続によるべきに拘らずこれによらず調査手続によつて発せられたもので正に手続の違法が存するといわねばならない。
(五) よつて右手続の違法が本件命令の効力を左右するものであるかどうかについて考察する。それには先ず労働委員会における不当労働行為救済手続の性格、従つて労働委員会の性格から考察しなければならない。
(イ) 労働委員会のような行政委員会の基本的な性格は、旧来の三権分立的機構、即ち立法府が法を作り、行政府はそれを執行し、それに対する違反が起つた場合に司法府は裁判によつて救済するという機構への批判にある。即ち現代の社会経済事象の複雑化高度化に伴つて、いろいろの問題が生じて来てこの複雑なる事象を規制し、その間に発生する紛争を解決するためには極めて複雑な政治的、経済的、社会的な考慮を払わねばならず、従来の議会、裁判所にとつては余りに複雑にしてしかも迅速な処置が要請せられる事情が生ずるに至つておる、従つてこの分野においては熟達した専門家が絶えず調査と研究をなして事情に応じた立法を行い、紛争を解決すべき必要に迫られているものといわねばならず、ここに行政委員会なるものが登場するに至つた理由が存するのである。
(ロ) 他面憲法第七十六条第一、二項は「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。」と規定し、一切の法律上の争訟は行政法規の適用に関すると否とに拘らず通常裁判所の裁判権に服させる趣旨であることを看取できる。裁判所法第三条に、「裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。」と規定しているのも憲法の趣旨を改めて宣明したものである。これ「法律による行政」を実質的に担保するのであり、又法の優位を宣言したものであることは今更いうまでもない。
(ハ) ここにおいて行政委員会の認定を司法手続によつて審査するという所謂司法的審査の問題が生ずる。換言すれば行政的確実迅速性と司法的公正妥当性との調和の問題である。そうして行政委員会の発生した理由を考慮する時その解決策は行政委員会の司法的作用即ち所謂準司法的手続を裁判所の手続即ち司法手続にできるだけ近ずけるとともに、裁判所もできる限り行政委員会の事実認定を尊重し、法律問題のみを審査するということに求められねばならない。
かく解する時は行政委員会における準司法的手続は司法手続に代つて司法的公正妥当性の要求を充すべきものとして極めて重大な意義を有するものであり、本件労働委員会の手続における前記違法は正に本件命令の効力を左右するものであるといわねばならない。よつてその他の争点の判断を待つまでもなく本件命令は取消さるべきものといわねばならない。
三、救済申立人補助参加人の申立却下の裁判に対する判断
申立を却下すべき事由は本件においてはいまだ認められないから(規則第三十四条参照)、申立却下の判決を求むる部分は失当として排斥すべきものとする。
よつて本件不当労働行為救済申立事件について被告委員会が昭和二十五年六月十五日交付した命令の取消を求める原告の本訴請求は正当として認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。
(裁判官 伊藤淳吉 越川純吉 石井敬二郎)